子供や孫が住宅を購入・新築・増築する場合の資金について、一定額は無税(非課税)で贈与することができます。
※非課税になる金額は住宅を取得する時期等によって変わります(下記の表参照ください)。
非常に有効な制度ですが、もちろん無条件に利用できるわけではなく、活用の際には以下の点にもご留意ください。
・贈与契約の締結時点、消費税率等がかかるかどうか、住宅の種類によって非課税となる贈与金額が変わります(下記の表をご参照ください)。
・住宅(家屋)の取得が必要となり、土地のみの取得では特例を適用できません。
住宅(家屋)の取得に関する 契約の締結日 |
省エネ等住宅に 該当する場合(※) |
省エネ等住宅以外 |
平成28年1月~平成32年3月 | 1200万円 |
700万円 |
平成32年4月~平成33年3月 | 1000万円 | 500万円 |
平成33年4月~平成33年12月 | 800万円 | 300万円 |
(※)省エネ等住宅に該当するかは、建築を依頼するハウスメーカー等の業者に個別確認が必要となります。
住宅(家屋)の取得に関する 契約の締結日 |
省エネ等住宅に 該当する場合 |
省エネ等住宅以外 |
平成31年4月~平成32年3月 | 3000万円 | 2500万円 |
平成32年4月~平成33年3月 | 1500万円 | 1000万円 |
平成33年4月~平成33年12月 | 1200万円 | 700万円 |
①通常110万円を超える金額の贈与を行った場合には、贈与税が課税されますが、この制度の要件を満たせば、多額の金銭を贈与しても贈与税がかかりません。
②相続税の3年内贈与加算の対象外となりますので、例えば相続の直前にこの制度を利用しても相続税の対象から除外することができます(相続税を節税できます)。
③暦年贈与(いわゆる一般的な贈与)の基礎控除(年間110万円までは非課税)とも重複して活用できますので、合計で1310万円まで非課税になります。相続時精算課税贈与を選択されている方も、この制度と併用できます。
①贈与税の申告をしそこなってしまった場合には不適用となります。期限後の救済措置は一切ありません。贈与税がかからなくても、申告は絶対必要です。
②また、すでに子供が住宅ローンを組んで住宅を建築していた場合、後からローンの返済に充てるために親が贈与したとしても、この制度は適用できません。あくまでこれから取得する住宅のための資金についてのみ、この特例を適用できます。
③同じく住宅購入資金に関する税制上の特例として、「住宅ローン控除」制度がありますが、住宅取得等資金贈与非課税の制度との併用はできないことになっています。例えば以下のケースの場合、
・住宅購入金額 4000万円
・住宅ローン金額(借入金額) 3000万円
・住宅取得等資金贈与額 1500万円
住宅ローン控除の対象にできる金額=4000万円-1500万円=2500万円
となります。
3000万円のローンを組んでも、500万円はローン控除の対象にできないことになります。
・夫婦でマイホームの購入を検討している場合、夫婦それぞれが親から購入資金の贈与を受ければ、それぞれが特例を適用できるため、1人で特例を受ける倍の金額を無税で住宅資金に充てることができます。
・子供が贈与を受けた資金で、親の土地に二世帯住宅を建てれば、親の相続のときに特定居住用(同居)の小規模宅地等の特例(自宅土地評価が80%減)を適用することができます。
適用を受けるための主な要件は以下の通りです。
・父母、祖父母から20歳以上の子供、孫に対する贈与であること(子供、孫の所得金額が2000万円超の場合にはこの特例は受けられません)。
・贈与した年の翌年3月15日までに、受贈者(受け取った方)が、その新築家屋に住み始めること、または、遅滞なく住み始める見込みであること。
・贈与があった年において受贈者が日本に住所を有していること。
・受贈者の配偶者、親族など、一定の特別の関係者から、住宅を購入、契約、増改築していないこと。
・贈与があった年の翌年の3月15日までに贈与税の申告書の提出が必要。
以上、「住宅取得等資金の非課税」のご説明でした。
住宅の購入時期や消費税改正の状況によって非課税の金額が変わりますので、ご注意ください。