贈与なんて多くの人がやっているし、税務署が逐一全てを把握するなんて物理的に不可能でしょ、黙っていれば時効成立にならないの??という、皆様がもっとも気になる部分を確認していきましょう。
贈与税の無申告や過少申告は、相続税の税務調査の際に発見され、指摘を受けるのがほとんどです。ただし、贈与税のみの税務調査もあるようです。
まずは、国税庁で発表している贈与税の調査実績を確認してみましょう。
※事務年度・・・7月から6月までに行われた期間となります。
28年度ですと、平成28年7月〜平成29年6月をさします。
みなさん、この表を見てどのような感想をお持ちになったでしょうか。
平成28年には年間で約3,700件もの税務調査が行われているのです。贈与税は年間約40万件申告されていますので、調査率は約1%、100人に1人が税務調査を受けていることになります。
過去の年度を見てもわかるように毎年度一定のペースで税務調査が行われていることが分かります。
また、特に注目される点が申告漏れの課税価格等の赤字の部分です。前年度と対比して約1,000%も増加しています、統計でこれだけ増えていることは異常な結果かと思います。
これだけ急増している理由は何でしょうか?
理由としては大きく2つ考えられます。
1つ目は、非常に大きな申告漏れが見つかった案件の税務調査が行われたということがありました。
(※)キーエンス創業者の株贈与に関する調査が行われました。
ただ、こちらはその年に生じただけですので、あくまでも偶発的な事象に過ぎないかと思います。
2つ目の、もっとも根本的な理由として考えられるのは、『国税庁の体制強化』があります。
平成26(2014)事務年度より、富裕層に関する情報収集を更に強化する観点から、一部の各国税局に重点管理富裕層プロジェクトチームを設置しています。さらに、このプロジェクトチームは、平成29(2017)事務年度から全国に拡大することになっています。
急増の主たる理由は、このプロジェクトチームの設置効果が顕在化してきたのではないでしょうか。
いずれにせよ、読者のみなさまにとって一番意識しておいて頂きたいのは、『贈与税は今後更に厳しく見られる可能性が高まるということ』です。
なお、補足情報ですが、申告漏れ財産の内訳のデータは以下の通りです。
当然ですが、生前贈与としてもっとも実行しやすい金融資産がその8割を占めています。